第5回「ミャンマー犬」

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ミンガラネネキンバー

ヤンゴンでは、のら犬がそこらじゅうを闊歩しています。日中は餌を求めて歩き回り、暑い日は昼寝をしているだけなので、遠くから見るぶんにはかわいらしい存在です。もちろん、彼らは狂犬病などの感染症に感染しているリスクがありますから、触ってはいけません。そのことを頭で理解したうえで、遠目で愛でる分には問題ないだろう…と思っていました。

 

早朝5時頃、仕事の前に少し運動しようと思って外に出た時のこと。暗さもあってか言葉にならない違和感を覚えました。日中に出店していた屋台が消え、黒い土嚢のようなものがあちこちに散らばっています。おそらく、屋台の商品かなにかを袋に入れておいてあるのだな、いや、それにしても少し異様だな…そう思ってそのまま通りすぎようとしました。そのとき、その袋からピョコンと耳が生えたのです。いや、丸まっていた犬が暗がりの中で袋のようなものに見えていただけで、そこにはたくさんの犬、犬、犬…しかも、怒っている!どうやら犬の縄張りに足を踏み入れてしまったようです。あわてました。

 

そのとき、近くのホテルの警備員さんが出てきて、すごい剣幕で犬たちを追い払っていただきました。あのおじさんがいなければ今頃私は狂犬病になっていたかもしれません。いやあ、こちらの生活にも慣れてきたころですが、油断は禁物ですね。