これからの介護を担う
人材育成
INTRO
DUCTION
高齢化社会が進み、ますます必要となる介護人材。
今回は介護を取り巻く環境や、人材育成のあり方を
株式会社笑顔いちばん社長、山口専太郎氏をお迎えして
弊社代表取締役CEO 中元秀昭と対談していただきました。
介護の仕事に、
もっと信念とプライドを。
中元
本日はお疲れさまでした。今日は「介護ファシリテーションプログラム※1」が行われたということもあり、「人材育成」をテーマにお話しようと思いますが、現状について山口社長はどのように感じていますか?
山口氏
施設によっていろいろ違いがあるかもしれませんが、やはり人材は不足していますよね。自社でも数年前までは働きたいと言ってくれる方は多かったけれど、現状では募集をかけてもなかなか集まりにくくなっているというのが正直なところですね。
中元
たぶん人材不足の問題は、弊社を含め例外なくどこの会社も同じ状況なんじゃないかと思いますね。これは介護業界全体にとっても核となる問題になってきていて、そういった状況の中で人材を育て成長させていくというのもまた大きな課題となってきています。
山口氏
基本的に我々の業界では、せっかく人が入ってきても長続きしないと言われています。それはなんでだろうとなった時に、会社としての思いがどれだけ社員さんに伝わってるのだろうかと感じたりする部分もある。介護は人生の大先輩である人のお世話をさせてもらい、人とのつながりを実感できる大切な仕事。
プライドを持って仕事をしている者からすれば何を言っているんだということなんですけど、一昔前は「仕事がなければ、介護に行け」というような風潮がありました。
今は仕事があふれてるから介護の仕事は要らないみたいな状況は健全とは言えません。そこをどう変えていくかがすごく大事だなと思っています。
中元
働く人間の価値観。ここがやはりポイントだと思っています。マスコミが揶揄して介護業界は「3K」(キツい、汚い、給料が安い)と煽り、それが事実のように言われていましたが決してそんなことはない。山口社長の言う通り、介護は本当に価値ある仕事であり、人の老いを通して生き方を考えることができる仕事。そこで働く人がこれまでの3Kから「新3K」(感動を覚え、感謝され、地域との架け橋となる)の価値を見出すことができるかどうかがこれからの課題ですね。
山口氏
その通りです。今の日本があるのは、お年寄りが一生懸命働いていただいた賜物。その方々へ子どもたちやお世話になった方が恩返しをするのがあるべき姿だと思います。ただ、現代社会において皆さんがそれを実践するのは不可能で誰かが代わりに行わなければならない。それが介護の仕事なんです。そこに誇りを持って仕事をしてほしいですね。
日々の仕事を通して社員教育・人間教育ができる仕組みや経営者・管理職の方の能力開発を行っていきます。モチベーションの向上・人間力の強化によって、介護事業にたずさわるすべての皆さんが希望ある未来を思い描き、自信に満ちあふれた介護職員を育て、安心して年を重ねることができる社会を実現する第一歩となるプログラムです。
日本人の持つ優しさを、
介護を通じて育みたい。
中元
他の仕事と比べるというより、改めてその仕事に携わっていることにプライドを感じてほしいですね。
それを踏まえて一緒に協力いただいて設立した「NPO法人日本介護サポートセンター」があるわけですが、この組織についてはどうですか?
山口氏
中元社長の「介護でノーベル平和賞を取りたい」という思いに深く感銘を受けて参加させていただきましたけど、この理念こそまさに人材育成につながっているのだと思っています。
さくらコミュニティサービスの社員さんが発した「介護の義務教育化」。これは本当に素晴らしい考えだなと思いました。
小さい頃から目上の方のお世話をすることでやさしい気持ちを育むことはとても大切で、NPO法人として義務教育化を推し進めるのは社会的にも意義のあることです。
中元
これは僕が言い出したことではなく、社員さんが口にしていた言葉なんですけど、はじめて聞いたときに雷に打たれたような衝撃的な一言でした。
今日本の介護の中で必要なビジョンはまさにコレなんだと気付かされました。
介護の義務教育化を通じて、お年寄りを敬うという日本古来の道徳観を子どもたちに受け継いで、子から孫へとつないでいく。
これが全国でできたとしたら、こんなに素晴らしいことはないですよね。
山口氏
それを社員さんが言い出したというのが、またすごいですよ。現場からの言葉だからこそ感動できる。
昔は大家族で暮らしていたり、近くにおじいちゃんおばあちゃんがいる環境はあたり前で、子どもたちはおじいちゃんおばあちゃんが甘えられる身近な存在でした。今は核家族化が進み、そういった関係性が薄れてきている。
そういった意味でも介護の義務教育化は子どもの人間性を養う上でも理にかなっていますよね。
中元
今は経済優先の世の中になりつつありますが、介護を通じて日本人が忘れかけていた人を敬う気持ちや大切に思う気持ちが今一度見直される環境を、NPO法人を通じて作っていきたいですね。
山口氏
街づくりであり、人づくりであり、社会づくりなんですよね、介護の根底にある理念は。これからも精力的に活動を続けていきましょう。
中元
目的と理念をしっかりと伝えていけば、賛同していただける方も増えていくと思っています。介護の力を集結させて、みんなで訴えて行きたいですね。
山口氏
こういうパワーのいることは優しさだけじゃ、広がっていきません。顔や体がいかつい我々だからこそできることかもしれませんね(笑)お互い心はとっても優しいんですけどね。
中元
山口社長はラガーマンでしたよね。話題の五郎丸みたいに、課題を突破していきましょう(笑)さて、もう一つ人材育成で我々が取り組んでいるのが「介護ファシリテーションプログラム」です。こちらについてはどうでしょう?
未来のビジョンと
大きな夢が、
人を成長させる。
山口氏
思えば私たちが出会ったきっかけも介護ファシリテーションでしたね。
今日も発表会を聞いていましたが、とても感動しました。こんなにも人は成長できるのかと改めて実感しました。介護って心の根幹に優しさがないとできないんですよね。でもその優しさがかえってマイナスになる部分も多々ある。それはたとえば、優しすぎるあまり人に言いづらいことが出てきてしまうなどなんですが、そのマイナスを補うのがこの研修の役割。
中元
特に与えられたテーマがあるわけでなく、自らが自分の課題と向き合って自らがその課題を直面しながら乗り越えていく研修なので、とても有意義な研修ですよね。
山口氏
それともう一つ大事にしていることが、心の健全。自分の今の心のポジションを知ることができるんですよね。主にリーダーとなる人材が研修を受けるんですが、仕事が忙しくなってしまうと部下やスタッフに感情的に指示を出してしまうことがある。だけど、感情をセルフコントロールすることができれば、きちんと整理して指示を出すことができますよね。
中元
現状のことだけを考えていると目先しか見えなくなるので、感情的にもなりがちですよね。それが未来のビジョンを見据えながら仕事をすることも大事なんだと思います。
今の介護業界は、過去の経験則や現実に起こっていることに目がいってしまって、なかなか未来のビジョンが見出せない。それが介護ファシリテーションを続けていくと、自分の果たすべき役割はなんなのかと考えるようになり、その瞬間から人は変わっていくんだなと思いますね。
山口氏
未来を向くというのは、人を変えるんですよね。過去は変わらないけど未来は変わっていくんです。そのために努力することが人格形成につながるんですよね。これがこの研修の普通のリーダー研修とは違うところです。研修を受けている人材には大きなビジョンを持って、これからの介護業界の発信役となって活躍してもらいたいものです。
中元
スタッフが未来のビジョンを語るときの顔って、とてもキラキラしてますよね。
自分の価値に気付き、夢をもっと語ってもらいたいんです。私も数年前までは、夢を持ってはいたんですがなかなかそれを口にできないでいました。その結果、創業して10年を振り返ってみた時に、ついてきていた人間が2人しかいませんでした。その時は愕然としました。この10年、なにをやってきたのかと。
それからです、私が夢や思いを周りに伝えていこうと思ったのは。1人では実現できない大きな夢。それを口にするということは良い意味で周りを巻き込むということなんです。それが少しずつ大きくなり、やがて夢が実現するんですよね。
山口氏
私はいつからか「介護で世界に行く」と言い続けていました。その時はなにげなく漠然と思っていたことを口にしていたんですが、実際に中元社長や同じ夢を志す仲間と出会い、今まさにその夢が実現しようとしている。たとえ、その夢や目標が叶ったとしてもそこで終わってしまったら、意味がありません。また次のビジョンを見つけ動いていくことが重要です。
中元
そうなんですよね。介護の世界で人材教育に今一番必要なのは、未来のビジョンと大きな夢を持つこと。そしてそれを大いに語っていただく。
その場の提供することが私たちの役目かもしれませんね。
山口氏
企業のトップの役目は、まずビジョンを示してあげること。それが明確で希望のあるビジョンであれば、社員さんは必ず付いてきてくれます。
そして、その夢をきっかけにして自分自身の新たなビジョンが生まれ、会社も人間も成長していく。まさに夢は仕事の原動力ですね。
岐阜県を中心に福祉・介護施設を広く展開。運営するデイサービスは全施設90%以上の稼働率を誇り、地域から厚い信頼を得ている。
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